マインドフルネスとは
マインドフルネスの定義
マインドフルネスとは「今、この瞬間に意図的に意識を向け、評価や判断をせずに、ただその状態を観ること」
(「今、この瞬間」にのみ意識を向けている「意識の状態」を指す)
マインドフルネスの由来
マインドフルネスは仏教の瞑想に由来しています。
ですが、現在のマインドフルネスは宗教色を一切取り除いたもので、どなたにも気軽に実践していただけるものになっています。元々は医療目的に登場した背景があり、1979年、マサチューセッツ大学医学大学院の教授で、マインドフルネスセンターを創設したジョン・カバット・ジン博士によって確立されています。痛みやストレス関係の病気を持つ人々のために、「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」を開発されたことが出発点といわれています。
その後、マインドフルネスの効果がビジネス界から注目を集め、GoogleやAppleといった世界の名だたる大企業でマインドフルネスに関するプログラムが社員研修として導入されたことで、ビジネスシーンにおいても注目が高まっています。
マインドフルネスの効果
■集中力の向上
マインドフルネス瞑想では1つのことに「集中すること」と「集中が切れたことに気づくこと」を繰り返していきます。
このプロセスのよって心が鍛えられ、集中する状態が長続きするようになります。瞑想で鍛えられた一点に注意を集中させる力は、瞑想していないときにも持続します。
このことにより、物事の処理が速くなり同じ仕事(勉強)量を、より短い時間で集中してこなせるようになっていきます。
スポーツにおいても今この瞬間に集中するトレーニングはより高いパフォーマンスを発揮することに繋がっていき、多くのアスリートが瞑想を取り入れています。
■ストレスが解消されて心が穏やかになる
意図的に何もしない時間をもち、頭の中にあることを客観的に観察していくことで心と体が深く休息します。
また、「今、この瞬間に意識を集中する」というマインドフルな状態になることは、不安や悲しみ、怒りなど、今、感じる必要のないネガティブな意識に囚われることを遠ざけ、心を落ち着かせることにつながります。
■感情知性(EQ)の向上
感情知性(Emotional Intelligence:EQ)=「心の知能指数」
=他人の感情を感じ取る能力と、自分の感情をうまくコントロールし利用する能力。
マインドフルネスを継続していくと、EQが向上するといわれています。
EQを構成する5つの要素
①自己認識 ②自己抑制 ③モチベーション ④共感 ⑤ソーシャルスキル
EQの要素は、どれも生きていくうえで大切な能力であると感じます。
マインドフルネス瞑想を習慣的に行い、EQが向上すると、例えば、以下のような効果が期待できます。
・自己認識力が向上すると気づく力が高まり、自分の感情や思考を自覚できるようになります。そうするとそれだけで感情に飲み込まれにくなります。また、自分の本当の感情を自覚できることで納得のいく決断が下せるようになります。
・自己抑制力が向上することで、イライラや不安、恐怖や焦りなどの感情にも素早く気づき自覚することで、より冷静な対応や判断ができるようになります。
・共感性が向上することで、他人の感情や思考に気づきやすくなり、関係者と合理的な決定をしやすくなります。
・ソーシャルスキルが向上することで、他者と良い関係を築いたり、改善することができる。
■頭が明晰になり、洞察力が高まる
意図的に考えない時間をもつことで、色々な雑念で散らかった頭の中が整理され記憶力が向上します。
また、頭の中を客観的に眺めるというマインドフルネスのトレーニングは、無意識にもつ先入観や思考パターンを解放します。その結果、物事をありのまま捉えることができるようになるので明晰さと自己洞察力が高まります。
■直観力、創造性が高まる
マインドフルネスの瞑想中は、身体はリラックスしていますが意識は覚醒した状態になっています。
その結果、今までとは違う斬新なアイデアが浮かんだり、既成概念を打ち破るような全く新しい考え、企画が生まれやすくなります。
■思いやり深くなり、人間関係が良くなる
瞑想を習慣化し、自分の内側で起こっている感情や感覚をありのまま受け入れる器が育ってくると、自分にも他者にも思いやりの心を育めるようになり、より豊かな人間関係を築けるようになります。
■心も体もきれいになる
瞑想が習慣化し、瞑想の姿勢が癖づくと体幹が引き締まり、背筋がまっすぐ伸びた状態が維持されます。
そうすると歩き方や座り方など普段の姿勢が変わります。良い姿勢は呼吸を深めます。その結果、肺や内臓の動きが活発になり、血流が改善され基礎代謝が上がります。これだけで自然と痩せやすい体質に変化していくことが考えられます。
また、瞑想中にでる幸せホルモン「セロトニン」は体を内側から元気にし、良い思考が生まれやすく、自然治癒力の向上や更年期障害、ホルモンバランスにも良い影響を与えるとされています。
■睡眠の質が上がる
呼吸を整えることで自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが整い、身体の緊張やストレスが解消されます。
そうするとリラックスして眠れるので自然と深い睡眠に繋がります。
■ゆるぎない自信が育まれる
マインドフルネス瞑想では、注意がそれたら呼吸に意識を引き戻します。このプロセスによって「注意力」と「注意がそれたことに気づく力」が養われます。そうすると、日常の生活でも目標から遠ざかりそうになっている自分に気づいて本来の目標の方に引き戻す力が高まります。自分がやることと、やらなくてもいいことが明瞭になり、それが行動に現れていくので自己信頼が高まります。
また、良い悪いと価値判断することなく、ありのままをみていくという心のトレーニングが自分自身にも適用されるようになります。だめな自分も弱い自分もすべてを認め受け入れるおおらかさが養われることで「どんな自分でも大丈夫」というゆるぎない自信に繋がっていきます。
■影響力やリーダーシップ能力が高まる
瞑想が深まると繋がりや一体感を感じ、周りの人に対しても自然と「貢献したい」という気持ちが湧いてきます。
このことが人間的魅力を高め、影響力やリーダーシップに繋がっていきます。
■自分らしい人生を実現できる
自分の思考や感情も「客観視する」というマインドフルネスのトレーニングによって、自分が無意識にもつ思考の癖にも気づきやすくなります。そうなると、無意識の思いや感情に振り回されることが減り、より自分の価値観にあった選択ができるようになるので、自分らしい人生の実現に繋がっていきます。
マインドフルネスを導入している企業
上記のようなマインドフルネスの効果は日常生活をはじめ、ビジネスシーンでも重要であることから、
現在では多くの企業がマインドフルネスを導入しています。
マインドフルネスの効果がでるまでの期間
株式会社Melon様調査より
上記のグラフから4週間の継続で51.6%の方、8週間の継続で85.3%の方がマインドフルネスの効果を実感したという結果が出ています。
マインドフルネスの研究が進んでいる欧米においてもマインドフルネスの効果が出る期間の目安として「8週間」と言われています(脳科学研究のエビデンスとして実証)